運動をがんばって逆に痛めた方へ

当院には、よく腰痛・股関節痛・ひざ関節痛、ふとももの痛みなど足腰の痛みで来院される方がいらっしゃいます。そしてそれらの症状の方の中には、病院で先生に

「この痛みは筋肉不足が原因で痛んでいるので、運動をして筋肉をつけてください。」

と言われて、実際にまじめにウオーキングやランニングをがんばったら、もっと痛くなってしまった。と言われて来院される方が結構いらっしゃいます。

確かに、筋肉が弱っている人は、筋肉を鍛えて強くすれば、ほとんどの痛みは消えて、症状は改善します。しかし若い時のイメージでやみくもに歩いたり走ったりすれば良いと言う訳ではありません。

そこでこのページでは、皆さんがどうすれば痛まないで筋肉がつけられるのかを出来るだけ分かりやすくご説明していきます。

 

1、足腰の歪みをとる。

まず、ウオーキングなどの運動をして足腰に痛みがでる一番の原因は、歪んだ足腰をそのままにして歩いているからです。

もともと、腰やひざ・股関節などが痛む大きな原因は、筋力の低下と硬化、そして足腰の歪みになるので、その足腰の歪みを改善しないで、そのまま運動をするとさらに痛みがひどくなるのは仕方がありません。

例えば、O脚や外股は股関節痛やひざ痛の大きな原因になりますが、それを改善しないでウオーキングなどをすると、さらに股関節やひざが痛んでしまいます。また、多くの方は左右の足の長さが、股関節と骨盤のゆがみによって1~2センチ違っていて、それを矯正しないで運動をしても、やはり腰などに痛みがでてしまいます。

この様に、まずO脚や外股、X脚、左右の足の長さの違いなどを改善して、重心のバランスのとれた歩き方ができる様になってから、運動を始めることが必要になります。

 

2、今現在の患部の痛みをとる。

また、ひざ関節や股関節が炎症や疼痛をおこしている状態で、運動をしてさらに患部に体重の負荷をかけると、痛みがさらにひどくなります。

例えば、ねん挫で炎症をおこしている人が、さらに筋肉をつけるために痛みを我慢して歩き続ければ、筋肉がつく前に痛みで歩けなくなりますね。(笑)

この様にまず足の痛みをきちんととってから、運動を始める必要があります。ただし、痛み止めやシップで痛みをとっても、患部そのものを治しているわけではないので意味はありません。

痛み止めの薬や注射に頼らずに、患部の血流を改善することで、きちんと患部の痛みを止める必要があります。

 

3、自分の現在の体質に合った運動量を考える

身体の歪みと痛みをとって、初めてこれから痛みが再発しない様に筋肉をつけるための運動を始められるわけですが、今まで運動不足で筋肉が弱っている方や、ご高齢の方は運動量を少しずつあげていく必要があります。

いきなり若い時のイメージで運動量を増やすと筋肉が悲鳴をあげて、痛んでしまいます。(学生のときに初めて運動部に入ったら、最初の一か月くらいは足がパンパンに痛みましたね。)

基本は、まず最初に目標とする運動量を決めたら、(例えば毎日30分歩きたいなど)雨の日以外は毎日、あるいは二日に一回でもよいですから、最初は10分くらいから初めて、徐々に3か月くらいで目標に近づく様に運動量を上げていくことです。毎日こつこつとすることが大切で、週に一回だけ休みの日にまとめて長距離(2時間とか)を歩いたり走ったりするなどは、やめた方が良いです。

4、ご自分の生活環境を考える。

お仕事などの生活環境によっては、運動が逆効果な方もいらっしゃいます。

例えば、肉体労働の方やフルタイムの介護士、看護師、先生など、毎日肉体的にハードなお仕事をされている方は、毎日のお仕事の疲れが痛みにつながっていますので、よほど体力に自信がないかぎり、さらに運動をして身体に疲れを溜めるのはよくありません。

 これらの方は、日常のお仕事がすでにハードな運動になっていますので、これ以上の運動は逆効果で、それよりも関節や筋肉が硬くならない様に、ストレッチや関節のケアを行い、身体の柔軟性を維持することが大切になります。

基本的に痛みは肉体を行使して筋肉が慢性疲労で硬化して起こるもケースと、肉体を休ませすぎて運動不足で筋肉が衰えて起こるケースの二つにわかれますので、運動が必要になるのは、後者の運動不足の人ということになります。

egao.jpg当院では、慢性の足腰の痛みで来院された方で運動が必要な方には、まず足腰の歪みと患部の痛みをとった後で、その方に合った運動法や正しい歩き方をご指導させていただいています。

また、肉体的にハードなお仕事をされていて、運動法が逆効果になる方には、ストレッチ系の筋肉を伸ばす体操や筋肉の血流を良くする体操をお教えしています。